3月14日(日)に赤羽ReNY alphaを舞台に行なった二部制ワンマン公演「白黑有無」-Xylochrome-の場で、3月21日(日)に1stシングル「白黑有無」(シロクローム)を発売することを発表。CDをリリースしたばかりのハイダンシークドロシー。
1stアルバム「ヒトリランド」時期までのハイダンシークドロシーは、物語のキーマンとなる少女ドロシーの心の内側を、時空を超えて旅する物語として描きだしていた。そのドロシーが部屋を飛び出し、錆びれた遊園地で見つけたのが「エルドラド」という名のメリーゴーランドだった。時間の流れに取り残されながら、延々と廻り続けるメリーゴーランドに魅せられた少女ドロシー。時の流れに迷い込んだドロシーが、次にどんな物語を描きだすのか…。その期待は、最新シングル「白黑有無」によって、意外な方向へと向けられた。ここからは、4人の言葉を借りてシングル「白黑有無」に込めた想いを紐解こうか。
谷くんの場合ヴィジュアル系のセオリーに縛られていないから、「翼」や「丘」という言葉のモチーフも先入観なく素直な表現として使っているところが新鮮だよね。
――「白黑有無」が、ハイダンシークドロシーとしては初となるシングルCD盤になるんですね。
靖乃 意外にもそうなんです。これまでに発売した「メーズ」「ページェント」「エルドラド」はすべてデジタルシングルとしてリリース。唯一CD盤になっていたのが、1stアルバムの「ヒトリランド」のみでしたからね。それもあって、まだ盤にしていない「エルドラド」も形にして残そうとの想いから、今回のシングル盤に2つの新曲と並べて収録しました。
情次2号 何時か出すだろう2ndアルバムに収録するまで待っても良かったんだけど。今回の作品との「物語としての繋がり」面も含め、このタイミングで収録を決めました。ただ、思ってた以上に「エルドラド」の音質が重くソリッドだったせいか、2つの新曲との音のバランスを取る面で苦労もしましたけどね(笑)。
――収録した新曲の「白黑有無」と「心温」は、メジャーコードを用いた明るい表情や温かみを持った曲たち。1stアルバム「ヒトリランド」の頃のダークな香りを受け継ぎながらもファンタジー性を強めた「エルドラド」とは、同じファンタジーでもちょっとベクトルが違っていますもんね。
情次2号 そうなんですよ。今回、谷くんに「次は、明るいファンタジーな楽曲にしたい」と提案されたことや、それを聞いた僕らも「それ、いいじゃない」と即答したはいいけど。完成した2曲が予想以上に軽やかだったから、その部分で「エルドラド」の持つ音のレンジと合わせるうえで手こずった面も、正直ありました(笑)。
――「白黑有無」と「心温」の作曲は、情次2号さんが手掛けました。
情次2号 先に「白黑有無」の話をすると、谷くんに「こういう明るくてファンタジックな曲にしたいんです」と参考曲をいただいたんですね。さっそく聞いたところ、「すごく谷くんの歌声に似てるなぁ」と思っていたら、別のユニットで谷くんが歌ってた曲だったという(笑)。その楽曲がストリングスなども用いた、アニソンのような匂いもする明るいファンタジー系のナンバー。その世界観を、どうバンドサウンドの中へ落とし込むか…。あまりにも激しくしてしまうとファンタジー感が薄れてしまうので、なるべくライトなポップス寄りにも考えながらといろいろ試行錯誤をしたうえで、今回の形にたどり着きました。
僕らの場合、どうしても「ライブを想定」して楽曲を作る傾向が強いんですね。「白黑有無」は、純粋に楽曲としてどう追求するかと制作を始めましたけど。ライブでも活かせる解放感を描き出したところ、上手い形で落ち着けましたね。
靖乃 「白黑有無」の面白さって、ギターの歪みの音を軽くするとポップに聞こえるけど、思いきり歪みを重くするとパンクやメタルにも聞こえるところ。それこそ重み成分を強めると攻めた表情に変えることも出来る。それくらい「白黑有無」は繊細なのに表情豊かな楽曲だからね。
――谷さん、自分の過去の楽曲を参考に持ってきたのは、みずから作り続けてきた明るい面に於けるファンタジックな世界観をハイダンシークドロシーにも投影しようとしてのこと?
谷琢磨 そうですね。1stアルバム「ヒトリランド」の頃までは、ドロシーという女性の視点を通し、部屋の中で過去や現在を行き来しながら物語を作ってきました。でも「エルドラド」自体が、谷自身が幼い頃から想い出を重ねてきた、かつて「としまえん」という遊園地にあったカルーセルエルドラドというメリーゴーランドへの想いを投影した楽曲。つまり、ドロシーは外へ飛び出し、いつしか舞台を遊園地に移し変えていました。そこから今度は、「遊園地を舞台にした物語を書きたいな」と思い、それで最初に描いたのが、パレードを眺めている視点で歌詞を書いた「白黑有無」になります。今回、2曲目に収録した「心温」も含め谷自身の視点で想いを記せば、ちょうど衣装も新たにしイメージを変えたたように、ここからは、しばらく遊園地を舞台に、ドロシーの視点ではなく、谷琢磨としての視点で想いを描くのも良いのかなと思っています。
情次2号 翼を広げ、ここから飛び立とうという。昨今、なかなか翼を広げる歌詞がこの世界(ヴィジュアル系)にはなかったから、あの歌詞は新鮮でしたね。
ジン あの歌詞には痺れたなぁ。
靖乃 谷くんの場合ヴィジュアル系のセオリーに縛られていないから、「翼」や「丘」という言葉のモチーフを先入観なく素直な表現として使っているところが新鮮だよね。そのうち釘を打ち始めたり、刺が刺さったりし始めるのかも知れないけど(笑)。
ジン 丘に登ったり(笑)。
遊園地(「エルドラド」)に入ってすぐにパレード(「白黑有無」)へ遭遇したように、一気に明るくてファンタジックな世界へ入っていけたよう、幸先良い第二章のスタートを切れました。
――「白黑有無」は、解放感を持って疾走してゆく楽曲。歌もキャッチーだし、聞いてて心地好く気持ちをアゲてくれます。
谷琢磨 「エルドラド」の歌詞は、いろんな仕掛けを組み込んで作りましたけど。「白黑有無」は、パッと聞いたときスーッと耳に馴染んでゆく飾りのない言葉を使って書いていますからね。
靖乃 それこそ、遊園地でパレードを見たときに感じたままの感情を楽しくて鼻唄でも口ずさむような感じで歌詞を書いてるし、軽やかに歌っているからね。
谷琢磨 曲がすごく綺麗だから、ハモっててもすごく気持ちいいんです。
情次2号 衣装が変わったのもあるけど。結果的に、「白黑有無」を通してハイダンシークドロシーが第二章へ進み始めたような感覚もあるよね。
靖乃 遊園地を舞台にした新たな物語が始まったような。その遊園地が巨大なのか、意外と小さくて「あれっ?もう出口??」となるのか(笑)。そこは、僕らも未知数ですけど(笑)。
情次2号 さすがに、すぐ第三章が始まるのもね(笑)。
靖乃 でも、遊園地(「エルドラド」)に入ってすぐにパレード(「白黒有無」)へ遭遇したように、一気に明るくてファンタジックな世界へ入っていけたよう、幸先良い第二章のスタートを切れたなという感覚も実際にあるけどね。
――1stアルバム「ヒトリランド」の世界に陶酔していた人たちからしたら、嬉しい裏切りになりますからね。
靖乃 これまでに培った”らしさ”も、しっかり携えてたうえでの進化だからね。
「白黑有無」が少し離れた場所からパレードを観ている感覚だとするなら、「心温」は部屋の中で4人が輪になり演奏してるんだけど。その輪の中へ聞いてる人たちも一緒に加わっているような感じがする。
――「心温」は、谷さんの穏やかで温かい歌声と情次2号さんの爪弾くギターの音色が寄り添いながら優しく始まります。そこへ、ジンさんのベースがそっと想いを寄り添えれば、途中から入る靖乃さんのドラムが楽曲に華やかさを描き出してゆく。そのドラマチックな展開が素敵です。
情次2号 もともとアコースティックな楽曲を作ろうとしていたんですよ。モチーフになったのが、デビューライブを赤羽ReNY alphaでやったとき、谷くんがお立ち台に座って歌っていたんですね。その模様は、1st PREMIUM ONEMAN LIVE DVD「hide-and-seek」を通しても確認できるんだけど。その姿を思い出し、谷くんと僕とがなんとなく寄り添いながら、自分のギターの旋律に合わせて谷くんが歌い始めたらと想定して作ったのが「心温」。これはギター1本の演奏だけでも成立する曲のように、とにかく谷くんの歌を活かしたかったんですよ。
靖乃 もともと、3月14日に行なった二部制ライブの第一部をアコースティック寄りのスタイルでやろうという話の延長として、そこで披露して似合う曲をというのも想定してのことだったからね。
――ジンさん、「白黑有無」と「心温」についての想いを聞かせてください。
ジン まだ羽ばたく歌詞が誕生する前に思っていたのが、疾走感を活かすべき楽曲だなということ。そこを心がけながら演奏した結果、谷くんが翼を広げ飛び立つ歌詞を載せてくれたように、そこでの安心感がまずはありましたね。もし、ここで暗い歌詞が載っていたらどうなっていたのか…。
情次2号 翼が折れていたかも知れない(笑)。
谷琢磨 それはそれで有りですけど(笑)。
ジン 「心温」は、歌とギターだけで演奏を始めていく中、そこへベースが入り、やがてドラムが加わってと少しずつ音が広がっていくんですね。最初に送られてきたデモ音源を聞いたときには、ベースが裏でズッとメロディーを弾いていたことから、「心温」ではチェロ的な役割を担う演奏を心がけました。普段はなかなかメロディーを弾かない楽器なので、そこが聞いてて面白いところかなと思います。
あと、細かいところでいうと、レコーディングで演奏をこねまわしすぎると、ライブで演奏するときに立って弾けないという現象が起きることもしばしばあるように、「白黑有無」は最初からライブを想定し、立って演奏をしていました。逆に、「心温」は座って演奏。そこの気持ちの差も音のニュアンスから感じてもらえたら嬉しいです。
谷琢磨 谷の場合、「白黑有無」も「心温」も寝っ転がって歌いましたからね。そのほうが喉鳴り的に一番良かったんですよね。
――靖乃さん、「心温」のドラム演奏は、だいぶ待ちの状態が長いですよね。
靖乃 「心温」のドラムは、途中からようやく出てくるからね。「最後まで出てこない」という案もあったんですけど。ドラムが加わったところから楽曲が一気に壮大な表情へ変わりだし、結果的にゴージャスになっていく。とはいえ一番に心がけたのが、見ている人たちの目の前で4人が演奏を届けている感覚。「白黑有無」が少し離れた場所からパレードを観ているとするなら、「心温」は部屋の中で4人が輪になり演奏してるんだけど。その輪の中へ聞いてる人たちも一緒に加わっているような感じ。他にも、突っ込みぎみで演奏をした「白黑有無」に溜めを活かした「心温」、その叩き方のニュアンスの違いも感じてくれたら嬉しいです。
昔からヴィジュアル系を好きで聞いてきた方々には、どこか懐かしくもある表現がたくさん書かれているんじゃないかと思います。逆に、最近ヴィジュアル系を知った方の場合、新鮮な表現として捉えられると思います。
――「心温」の歌詞は、もう会えない人に向けての想いを記していません?
谷琢磨 そうなんですよ。「心温」には亡くなった猫のことを思って書きました。ただし、歌詞に関しては、その人の心境に当てはめ自由に捉えてもらいたいし、その人が感じた想いが正解だと思っています。「白黑有無」と「心温」の歌詞には、対比した世界観も描きました。「白黑有無」へ”生と躍動”、そして”心の距離の遠さと物理的な近さ”を記しているなら、「心温」には”死と静”、そして”心の距離の近さと物理的な遠さ”を書きました。
靖乃 「白黑有無」と「心温」に関しては、いろんなところに対比が散りばめられているので、そこはぜひ感じ取ってほしいよね。たとえばヴィジュアル面。デビュー時は淡く白い背景を前に黒い衣装で俺らが立っていたのに対して、今回は黒い闇を背景に白い衣装姿の俺らが立っているからね。
谷琢磨 そのうえで、以前もモチーフにしていたランタンを用いるなど、ガラッと変えたのではなく、物語は続いていることも示唆しています。
ジン CD盤の中にも、対比はいろいろと示されています。今回も僕がジャケットを制作したんですけど。デビューライブ時に羽根がバーッと広がる映像を用いましたが、それが「白黒有無」の世界観と重なったことから、先に「羽根をモチーフにしよう」というアイデアを出しました。そのうえで、今の白い背景の上に白い羽根が描かれたジャケットに繋がったんですけど。中を開いてCD盤を取り出すと、そこには黒い背景の上に白い羽根が描き出されている。他にも、羽根の細かいところまで手を加えていれば、今回は漢字を用いたタイトルという理由もあり、書体なども過去とは一新しているように、そういうところまで、以前の作品も含め対比してもらえたら、いろいろ楽しめるはずです。
情次2号 自分からしたら、「白黑有無」も「心温」もメジャーキーの楽曲ということ自体がこれまであまりなかったことなので、非常に新しい試みでしたね。とくに、「白黑有無」はお洒落な音の代名詞ともいえるメジャー7th から始まるように(笑)、そこも画期的なアプローチでしたね。
靖乃 じつは今回、制作環境にも変化が生まれました。というのも、自分たちがイメージする世界観をより具現化するために、レコーディングからミックスまですべてメンバー自身の手で行ないました。結果、純粋で混じり気のない4人の音楽を作り出すことが出来た。そこを打ち出せたことも、第二章の始まりとしては良いスタートを切れたことだったなと思いますね。
谷琢磨 今回の作品、「白黑有無」と「心温」との世界観とで対比を描き出せば、「白黑有無」も「心温」も、それぞれの曲の中でいろんな対比を作り出しています。その対比の数々をいろいろ見つけ出していただけると、楽曲の世界観のならず、CD盤全体としても楽しんでいただけると思います。個人的に「白黑有無」の歌詞の表現は、今までの自分にはなかった書き方をしていることから、今、引き出しが無限に広がりだしています。「白黑有無」の歌詞に関しては、昔からヴィジュアル系を好きで聞いてきた方々には、どこか懐かしくもある表現がたくさん書かれているんじゃないかと思います。逆に、最近ヴィジュアル系を知った方の場合、新鮮な表現として捉えられる。「白黑有無」「心温」とも、歌詞も曲調も聞いた人なりに解釈を楽しんでもらえる楽曲のように、そこを味わっていただけたら嬉しく思います。
TEXT:長澤智典
★インフォメーション★
★音源情報★
「白黑有無」
2021.3.21 release
HSD-006
通常盤 ¥1,650(tax in)
デラックスエディションパック ¥2,420(tax in)
(新アー写5枚セット付)
収録曲
1.白黑有無
2.心温
3.エルドラド
3/15〜先行予約販売開始アットワークスストアのみ
Https://at-works-project.stores.jp
1st PREMIUM ONEMAN LIVE DVD「hide-and-seek」
通常盤
\5,500 (tax in)
HSD-005
デラックスエディションパック
DVD+Special Live Photo Book (A5/32p予定/直筆サイン入り)
\8,800(tax in)
HSD-005d
2020/9/20(日)赤羽ReNY alphaにて配信された「シーク」公演をベースにカット再編集を加えた永久保存版としてDVD化!デラックスエディションパックには未公開のライブフォトも使用したスペシャルフォトブックがついてきます。
販売ページはこちらから
https://at-works-project.stores.jp/?category_id=5f23bd45d7e1d87d5401cc92
★LIVE情報★
4ヶ月連続配信2マン
「正正」
04/18(日)with The Benjamin
05/16(日)Coming soon…
06/20(日)Coming soon…
07/18(日)Coming soon…
1st Anniversary Live
「百花千紅」
09/18(土)南青山MANDALA
09/19(日)Music Lab.濱書房(ONLINE LIVE)
詳細後日発表!
ハイダンシークドロシー Web
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ハイダンシークドロシー twitter
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