ソーシャルディスタンスという制限のもと、全国的にライブハウスの規制も緩和され、ようやく爆音が空間に鳴り響き出した今。とはいえ、事の状況を見守りながらどう対応していこうかと試行錯誤しているバンドやアーティストたちもいまだ数多い。
XANVALAも、延期になっていた数々の公演が決まりだし、7月中旬時期より本格的にライブ活動を再開する。そこへ至るまでの間はもちろん。ライブ活動再開後も、今行っているオンラインを通したライブ配信活動は続けていく。
XANVALAの配信ライブと言えば、他とは異なる独自の見せ方をしていることでも話題になっている。とくに最近は多くのカメラを用い、一つの画面の中に全体や各メンバー個々の姿を同時に投影した『MULCH ANGLE REVOLUTION』というスタイルを実践。つねに他とは異なる斬新なアプローチや新しい試みを率先して行ない続けているXANVALAらしい、これも新しいライブ配信スタイルだ。ライブハウスを舞台に毎回シューティングしているのも、ライブの臨場感を味わううえでも嬉しいこと。
定期的に配信しているライブを通し、このたびXANVALAが嬉しい報告をしてくれた。それが、7月8日に通販限定で完売音源集「陸重奏」を販売することだ。
ライブ配信を通し全国各地にファンを広げたXANVALAだけに、今もCD店へ足を運ぶのが難しい人たちや、地方在住で行動範囲が制限されている人たちのため、彼らは確実に手に届く方法として”通販”を選択。嬉しいのが”完売音源集”という言葉も記されているように、すでに入手困難な「鮮やかな猛毒」「CREEPER」「文明開花」の3作品を本作でまとめあげたこと。
今回、「陸重奏」の販売を受け、メンバーのパーソナルインタヴューを実施。ここでは、ヴォーカル巽の言葉をお届したい。
自分自身と向きあったり、何かと自分を照らし合わせたり…。そのうえで「俺はこうだから」と主張していく形が多いです。
――1月末時期に行った始動ワンマン公演を完売し、XANVALAの活動がスタート。日を追う毎に支持を集め、早い時期にブレイクしそうと話題になっていたところ、始動から2ヶ月経たない中、コロナによってライブ活動を自粛せざるを得なくなりました。現在は、「無観客ライブ生配信」という形でライブを届けつつ、7月中旬頃より集客ライブも再開します。今へ至るまでの日々を、巽さんはどのように受け止めています?
巽 出鼻をくじかれた感は正直ありますけど、お客さんを前にしてのライブ期間は短かったとはいえ、その間に音源も定期的に発売出来ました。身近には始動ライブさえ出来なかった人たちもいるように、その環境に比べたら実際に走り出せたぶんだけ良かったなと思っています。
XANVALAは自粛期間中も、今も、「無観客ライブ生配信」という形でライブを届け続けています。そのスタイルを取ったことで、なかなかライブに足を運べない人たちの「観てみよう」という好奇心をくすぐり、結果、ファンの繋がりを増やし続けているように良いきっかけ作りになっているのも感じています。あとは、その人たちがライブ活動再開後、実際にライブ現場にも運んでもらえるようになれば…ですね。
――多くの地方の方々が「無観客ライブ生配信」を観ているとも聴きました。
巽 本当なら春先以降は名古屋や大阪でもライブ活動を行っている予定だったのが、地方へ足を運ぶ前に予定していたライブがすべて中止や延期になったことから、XANVALAはいまだ東京以外でライブをやったことがない状態です。それもあって、配信を通してとはいえ、全国各地の人たちにXANVALAのライブ姿を届けられたのは嬉しいことでした。そこに関しても怪我の功名ではないですが、僕らはプラスに受け止めています。
――自粛期間中、巽さん自身もいろいろ考えを巡らせることは多かったのでしょうか。
巽 XANVALAは自粛期間中も楽曲制作は継続していました。そんな中、「コロナに関する楽曲を書こうか」という話もメンバー内から出ていましたけど、「それは、ちょっと違うぞ」と(笑)。XANVALAの楽曲の歌詞は、すべて俺が書いています。書き手である俺自身が、コロナに対しての感情があまり沸かなかったことから、先のように思ったわけですけど。自粛期間中は、自分と向きあう時間が増えていたこともあり、むしろ、「対○○」という歌詞ばかりが生まれ出る状態。これまでの楽曲も同じ構図ですが、これから形になる曲たちも、その姿勢が軸になっていくと思います。
――巽さんの書く歌詞は、それが自分であり、他の人や存在であったりなど、「○○はこうだろうと、自分はこうだから」という構図で想いを記すことが多いですよね。
巽 自分自身と向きあったり、何かと自分を照らし合わせたり…。そのうえで「俺はこうだから」と主張していく形が、自分の場合は多いです。
今の巽という表記に変えたのも、自分自身の中の表現意識をしっかり切り換えられたことも大きかったなと思います。
――ここからは、「陸重奏」に収録した全曲の解説をお願いします。まずは、インストナンバーの「WARNING COLOURATION」からいきましょうか。
巽 「WARNING COLOURATION」は、良い具合にXANVALAの中間にある楽曲です。具体的に伝える言葉のチョイスが難しいんですけど。とても良いバランスの取れている曲として受け止めています。
――「WARNING COLOURATION」を受け、作品はXANVALAの始まりを告げた「鮮やかな猛毒」へと繋がります。
巽 自分でも好んで聞いているように、「鮮やかな猛毒」は良い楽曲なんですよ。この歌詞を書けたとき、過去のバンド活動を通して書いてきた歌詞のスタイルから変われたというか、自分の中でXANVALAとしての歌詞の表現方法をつかめたなという感触がありました。以前はタツミと名乗っていたところを、今の巽という表記に変えたのも、自分自身の中の表現意識を「鮮やかな猛毒」を通してしっかり切り換えられたことも大きかったからです。
――歌詞の表現面でも、一つ一つの言葉へ想像を巡らせるいろんなニュアンスを込めていますよね。その理由もあるのか、触れたときの感情次第で様々な受け止め方をしていけるんですよね。
巽 ストレートな言葉でバーンと攻めるのも良いんでしょうけど。ちょっとひねくれた表現を…というか。「鮮やかな猛毒」で言うなら、主人公の「大好き」という気持ちは、伝えたい相手には届いていない。それでもこの主人公は、想いを胸に抱いているだけで幸せでいられているのか。それとも、想いが届いてないことに怒りを覚えているのか…。自分の答えは記していますが、そこは聴く人の自由な解釈に委ねたうえで、「鮮やかな猛毒」に詰め込んだ想いを楽しんで欲しいです。何故なら、歌って、聞いた人の解釈が正解だと自分では思っているからです。
――続いて流れるのが、「ジセイ」になります。
巽 宗馬がデモ音源を持ってきたとき、「すげぇ明るい曲だな」と思いました。だからこそ歌詞では、ただただ明るい歌にはしたくないと思いました。この曲のサビメロに俺は、ちょっとしたもの悲しさや寂しさを覚えました。そこから想いを巡らせ記したのが、「こうやって前を向くまでの間、いっぱい傷ついてきたんだよ」という感情でした。
自分はポジティブな性格ですけど、何も考えることなくヘラヘラ生きているわけではなく、その背景にはいろいろ思い悩むことがあり、それを背負ったうえで前を向いています。「ジセイ」には、対自分であり、俺のことを見ている人へ向けての想いをぶつけています。「ジセイ」・「独善」・「誰が為の幸福論」の歌詞はどれも、俺のことを見ている人たちに対しての想いや言葉としてどれも記しました。
――巽さんの場合、それがどんな状態や環境であれ、「俺はこうだから」と、歌詞を通してみずからの意志を強く主張していく面も強くないですか。
巽 よく、自分らの描いた夢や、目標を持って自分なりに人生を歩んでいく中、いろんな人たちが、さまざまなことを言ってくるんですよね。それに対しての自分なりの意志や想いを突きつけつつも、その背景では言われたことに対して傷ついてもいる。だから歌詞に弱気な自分を記してしまんうだろうなと思います。
――ゴリゴリに攻めた「CREEPER」。この歌詞は、「鮮やかな猛毒」と対を成しているそうですね。
巽 「CREEPER」は、「鮮やかな猛毒」の対極となる歌です。歌詞は、とある映画からインスパイアされたことから生まれています。
その映画の主人公はとても好青年で、何事にも一途な性格。とても綺麗な生きかたをしていますが、その人の行動がストーカーのようにも見えてしまったら…。俺は、その姿をあまり憎めなかった。同時に、こういう人が出す愛情を、相手はどのように捉えるのだろうと思って書いたのが「CREEPER」の歌詞になります。
じつは、すでに「CREEPER」や「鮮やかな猛毒」の続きとなる歌も完成しています。そこには、この物語のさらに向こう側の想いを記しています。すでにライブでも演奏していますが、どの曲かはあえて言わないので、そこは想像を巡らせ聞いてください。
――続いては、「独善」ですね。
巽 宗馬とは、前のバンド時代からの付き合い。この曲を聞いたとき「宗馬らしいな」と思いました。歌詞は、自分自身に対しての内容。自分の内側へ向けてというよりは、目の前にもう一人の自分が居て、そいつに向かって言ってるような歌詞になっています。それこそ、自分に向けて「甘えるんじゃねぇ」と罵倒しているような…。この曲、ライブではAメロ終わりで煽るんですけど、そこもこの曲の好きなポイントになっています。
――次は、特異な表情を持った「文明開花」になります。
巽 3枚目のシングル作品のように、自分の中では「鮮やかな猛毒」「CREEPER」「文明開花」の3作品を合わせて、ようやくXANVALAとしての名詞が生まれたなという感覚でいます。
「文明開花」の歌詞には、ヴィジュアル系の再興を強く望んでいる想いを記しました。XANVALAが、今のヴィジュアル系の中に新しい刺激となる改革を巻き起こしたい。それこそ、文明開化のような刺激を与えたい。そう思っているのも、自分が初めて触れたネオ・ヴィジュアル系の音楽文化はめちゃ輝いていたからなんです。その輝きに今の自分やXANVALA自体がなれたらなという想いを込め、バンドの持つ意志や姿勢を、「文明開花」の歌詞に詰め込みました。
――最後は、「誰が為の幸福論」ですね。
巽 「こうやったら君は嬉しいんでしょ」「こうしてあげるから喜びなよ」など、そういう外からの声に対して「うるせえぞ!!」と言ってます(笑)。普段からそういう言葉には敏感でありながらも、けっして表立って怒ることはなく、感情をグッと抑え込む性格。その感情を、思いきり歌詞に吐き出しました。
――巽さん自身、人が何を言おうと自分の意志を貫く性格じゃない?
巽 「こうしたら?」と言われても、納得できなきゃ言うことは聞かないですね(笑)。
――完成した完売音源集「陸重奏」、今の巽さんにとってどんな作品に仕上がりましたか。
巽 この6曲が揃うことで、しっかりXANVALAの名詞になれたなと感じています。しかも、どの楽曲もXANVALAの本質を捉えていると思います。じつは、新曲ではトリッキーな表情も生まれています。でも、これからもXANVALAの軸となるのはこの6曲であり、それを機軸に突き進んでいく意識でいます。
箱やイベントの主催者が許してくれるのなら、その公演を生放送するなど、そこは考えていきたいなと思います。
――間もなくお客さんを前にしたライブ活動も再開します。今は、どんな意識でいるのでしょうか。
巽 予定していた地方公演がまだ出来ていないように、なるべく早く各地へ「初めまして」の挨拶に行きたいですね。ただ、現状、ライブに関してはどれだけの人数を入れて行えるのかなど、まだまだ自分たちでも見えてない状況です。せっかくライブを再開してもチケットを取れない人たちがたくさん出る可能性もある。だったら、箱やイベントの主催者が許してくれるのなら、その公演を生放送するなど、そこは考えていきたいなと思います。
――これからの時代は、リアルと配信をミックスした形にもなっていくのでしょうか。
巽 ライブは、生で体感してこそのもの。観る方々も「配信だけでいい」とはならないと思うからこそ、そこは対応を考えてんいきたいところ。XANVALAは、自粛期間が明けたらふたたび激しく攻めていく意識でいます。次々と仕上がっている新曲では、XANVALAのさらに新しい面を見せれば、既発の曲の続きを味わえるように、そこも期待していてください。
TEXT:長澤智典
XANVALA 完売音源集「陸重奏」Trailer / XANVALA
★インフォメーション★
XANVALA 完売音源集「陸重奏」2020年7月8日通販限定発売
※予約商品をあわせてご注文されますと、それらの商品のうち、最長の発送可能時期(発売日)にまとめて発送されますので、単品でのご注文をおすすめします。
型番:PICD-006
発売元:PARAGUAS inc.
価格:4,400円(税込)
限定:完全限定300枚
CD収録曲:
1. WARNING COLOURATION
2. 鮮やかな猛毒
3. ジセイ
4. CREEPER
5. 独善
6. 文明開花
7. 誰が為の幸福論
8. 鮮やかな猛毒(Instrumental)
9. ジセイ(Instrumental)
10. CREEPER(Instrumental)
11. 独善(Instrumental)
12. 文明開花(Instrumental)
13. 誰が為の幸福論(Instrumental)
DVD収録曲:
1. 鮮やかな猛毒(MV)
2. CREEPER(MV)
3. 文明開花(MV)
ご購入方法:
https://starwave.official.ec/
XANVALA / 完売音源集「陸重奏」スペシャルパッケージ
CD+A3ソロポスター5枚セット+アーティスト写真セット+オフショットDVD
100セット限定
8000円
Official WebSite:
http://xanvala.com
Official twitter
https://twitter.com/XANVALA
PARAGUAS INC. YouTubeチャンネル
https://www.youtube.com/channel/UCq1DiSYb5VybCRkwcebXJvQ
「鮮やかな猛毒」MV
「CREEPER」MV
「文明開花」MV