今年デビュー15周年を迎えるアニソンシンガーの谷本貴義。難病のジストニアの症状を克服し力強いピアノ弾き語りワンマンを実施。満員の観客たちに未来へ向かうエールをプレゼント!!


今年デビュー15周年を迎えるアニソンシンガーの谷本貴義が、4月7日(金)に高田馬場 四谷天窓.comfortを舞台に「谷本貴義 弾き語りライブ「Heartfield 2017」」と題したピアノ弾き語りのライブを、満員の観客たちを前に行った。この日は、ゲストでサイキックラバーのIMAJOもアコギの演奏で参加。

ライブは、谷本貴義が歌ったアニメソングや特撮ナンバーと彼自身のオリジナル曲を巧みに混ぜ合わせ実施。ピアノ弾き語りというスタイルからバラード中心や原曲を穏やかな表情にアレンジという印象を持たれがちだが、彼の場合は鍵盤を叩きつける力強く躍動的な演奏を軸に表現。
これまで谷本貴義が歌ってきたアニメソングや特撮ナンバーの数々が力強い理由もあるが、楽曲に詰め込んだ明日を見つめる前向きな想いを表現するうえで歌声や演奏が熱を抱くのは当然のこと。歌詞に刻んだ想いと重なりあう彼の情熱的な歌声が鍵盤にも伝わり、脈動する活きた歌声となり観客たちの心へ眩しく突き刺さっていた。

「今年、アニメンシンガーとしてデビュー15周年を迎えるように、今日は15年間の歴史の歩みを紐解いていけたらと思います」と語りながら、谷本貴義のライブは幕を開けた。

序盤を彩ったアニメ「金色のガッシュベル!!」ナンバーの『君にこの声が届きますように』や『見えない翼』『Overdrive』に描き出した、歌声とピアノの旋律がシンクロしながら心地好く弾んでゆく姿。力強く真っ直ぐな歌声が心に翼を授け、輝き放つ明日へ向かって羽ばたく気持ちを与えてくれた。同じく「獣拳戦隊ゲキレンジャー」の挿入歌『高みの空へ』でも、谷本貴義の魂の叫びにも似た雄々しき歌声とパッションあふれる演奏に刺激を受け、沸き立つ熱を感じずにいれなかった。

オリジナル曲の『ミステイク』を通し、美しく流れる旋律の上で優しく語りかけるように歌えば、バラードコーナーでも、オリジナル曲の『この街のどこかに』や『月光』を憂いを携えた声色のもと、忘れられない想いへ心縛られる様を今にも感情壊れそうな歌声と演奏で届けてくれた。『アリの思い』では次第に高揚してゆく気持ちを。『のぼりかけの坂道』に至っては、優しく語りかけるように始まった歌が終盤では絶叫にも似たシャウト声に変わるなど、1曲の中へ感情が変容してゆくドラマも映し出してゆく。オリジナル曲たちに投影した谷本貴義自身の悲喜揺れ動くリアルな心模様は、終始胸を捉えて離さなかった。

後半は、サイキックラバーのIMAJOをゲストに迎え、ライブを展開。アコギを手にしたIMAJOの演奏に合わせ、二人とも青春時代に好んで演奏していたMR.BIGの『To be with you』をカバーすれば、突き刺さる激しさを持ったIMAJOのアコギの音を背に、谷本貴義は「獣拳戦隊ゲキレンジャー」の主題歌『獣拳戦隊ゲキレンジャー』を熱唱。観客たちも谷本貴義の歌へコールをぶつければ、サビではお馴染み「ゲキレンジャー!!」の合唱も起きていた。
ここからは、ピアノとアコギのセッションスタイルで演奏。心地好くハートフルにオリジナル歌『愛戦士バビュー』を歌えば、「烈車戦隊トッキュウジャー」の主題歌『ビュンビュントッキュウジャー』では、ビュンビュン弾むテンション高い歌声と演奏のバトルを展開。満員の観客たちも椅子から身を乗り出し騒ぎたい興奮を覚えていた。

終盤には、デビュー15周年を記念し、8月2日にオリジナル曲を満載したアルバムを発売することを告知。ふたたびピアノの弾き語りで、あふれる情熱をパワフルにロックな歌声と演奏にぶつけた「デジモンテイマーズ」の挿入歌『One vision』を熱唱。最後に谷本貴義は、「これからの未来へエールを贈るように」と語り、オリジナル曲『軌跡』へ詰め込んだ未来へ希望を託した想いを、会場に足を運んだ一人一人の心へ響かせるように心を込め歌い奏でてくれた。

アンコールでは、ふたたびIMAJOと一緒に、『Massage』を演奏。会場中の人たちが、谷本貴義やIMAJOと一緒に「ララララー歌を歌おう」と歌いながら、心を一つに溶け合わせていった。何より『Massage』を通し、改めて僕らは一人じゃない。これからも笑顔で支えあい歩み続けてゆく意識を、晴れた心で確認しあっていた。

最近はピアノ弾き語りという形でライブを行う機会も増やしている谷本貴義。彼は今、ミュージシャンが罹りやすい「ジストニア」(中枢神経系の障害による不随意で持続的な筋収縮にかかわる運動障害の総称。姿勢異常や、全身あるいは身体の一部が捻れたり硬直、痙攣といった症状が起きる=Webより引用)と戦っている。一時はギターやピアノを演奏することさえ出来なかったが、長い時間をかけ治療に取り組みながら、ようやく弾き語りで演奏出来るまでに回復。彼自身が、同じ病で苦しんでいる人たちへの一助の光になればと、こうやってみずからの病気を公言した。
ライブを通して触れているぶんにはまったく病気のことは気付かないくらい、とても情熱的な演奏を谷本貴義は見せていた。むしろ、彼の中にあふれる表現者としての熱意が病魔へ打ち勝つ力になっている。

今年はデビュー15周年。先にも触れたように8月2日にオリジナルアルバムの発売を決定。その後、新たなライブ展開も計画しているように、これからの谷本貴義の動きに注目していただきたい。アルバムの内容は、また改めてお伝えしよう。

TEXT:長澤智典
     
―セットリスト―
『Overdrive』
『君にこの声が届きますように』
『見えない翼』
『Heart』
『ミステイク』
『高みの空へ』
『この街のどこかに』
『月光』
『アリの思い』
『のぼりかけの坂道』
『To be with you』
『More than words』
『獣拳戦隊ゲキレンジャー』
『愛戦士バビュー』
『ビュンビュントッキュウジャー』
『One vision』
『軌跡』
『Massage』

谷本貴義 Web
http://www.tentenpine.com/
谷本貴義 BLOG
http://blog.excite.co.jp/tanimoto-net/
谷本貴義 twitter
https://twitter.com/tanimoto_tak?lang=ja


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