元joyのヴォーカリスト、天田優子。新プロジェクトimmortal noctilucaを始動!!そのライブは、小さな生を謳歌していた。


joyのヴォーカリスト/ソングライターとして始動。一時期はメジャーへ表現の場を移し、アニメ「エウレカセブンAO」のエンディングテーマ『アイオライト』をスマッシュヒットさせれば、アルバム『カレイドスコープ』もリリース。だが、バンドは約9年間の活動を持って幕を閉じた。
joyを解散した2015年8月以降、天田優子はソロとして新たな表現の場を模索してきた。だが彼女は、ソロというスタイルに落ち着きたくはなかった。天田優子は、春奈るなや佐香智久のアレンジャーとしても活動してきた森空青氏をco-Producerに招き入れ、2016年12月にソロプロジェクトimmortal noctilucaを立ち上げた。
immortal noctiluca…「不死の夜行虫」と名乗るこのプロジェクトが、会場先行リリースとなった1stアルバム『Gleam』を手に、2月17日大阪あべのROCKTOWNのライブから活動を開始した。地元でのライブで得た確かな手応えを胸に、immortal noctilucaは2月23日にTSUTAYA O-Crestの舞台に立った。その日の模様をここにお伝えしよう。

浮遊するそのリズムはゆっくりと、軽やかにステップを踏み出した。

 柔らかな、でも確かに沸き立つファンタジックな調べ。浮遊するそのリズムはゆっくりと、軽やかにステップを踏み出した。優しく疼く音色に導かれ舞台へ登場したメンバーたち。穏やかに、心地好いうねりを持って跳ねる音の粒は、次第に生きてる証を声にして上げ始めた。そして…。

ライブは、ストレンジでカラフルな音色が揺れる『マーベリック』を合図にゆっくりと命を帯びだした。熱を上げるよう場内へ広がっていく天田優子の歌声。昂り出す音の上で、彼女の歌声は「ここにいる証」を示してゆく。とても芯を持った演奏だ。波紋のよう熱を持って広がる音色の上で、天田優子の歌声がスキップを踏んでゆく。命の喚起にも似た躍動を覚えると言えば良いだろうか?!、旋律の上を自由に駆ける歌声、ゆっくりと揺れる身体。場内には、確かに熱が沸き立ちだしていた。

 マーチングなリズムに導かれ、アコギの音色が爽やかな風を運んできた。でも、どこかヒヤッとした冷たさを感じるのは、その演奏に心地好い緊張感が滲んでいるからか?!。ウィスパーな歌声を場内にはべらせるように歌う天田優子。『風』が届けたのは、肌寒い朝のようなシャキッとした音の空気!?。でも、その歌声は優しく心に絡みついてきた。いや、そよぐ歌の風に抱きしめられたと言うべきか。フワフワッと弾むその歌声に、何時しか心は夢中になっていた。何より、その声をしっかり胸で受け止め、じっくりと浸っていたかった。

燃え滾る感情を突きつけることで、彼女は自分の存在を知らしめていた。掻き鳴らすギターに熱く流れる血の滾りをぶつけていた。

「immortal noctilucaはなんぞや!?。これは、私のソロプロジェクト名。immortal noctilucaとは不死の…死なない夜光虫という意味があり、私自身の成りたい象徴なんです。この名前には、自分の音楽が絶えず生まれ続けてくれればという想いを。そしてもう一つ、自分が死ぬのが怖くてという意味も込めています」

今にも心ひび割れそうなピアノの音色へその身を、歌声を委ねながら、天田優子は生きる意味をシンプルな音に乗せ訥々と歌いかけてきた。ハウリングするギターの音を合図に、『end.』は確かな生を抱きながら、雄大な音のうねりを描きだした。今にも壊れそうな儚い歌声。なのに天田優子の存在を支える演奏は、力強くその命を押してゆく。躍動する演奏に心を押されるよう彼女の歌声も、どんどん熱を帯びていく。フロアーの人たちも、魂が鼓動してゆく物語へ心の呼吸を一緒に重ねあわせていた。脈動する力を携えた演奏を背負いながら、「すべて消えてしまうけど…すべて感じていたい」と生きる意味を天田優子は歌いかけてきた。

 唸りを上げた天田優子のギター。彼女が力強くギターを掻き鳴らすと同時に、演奏は破壊力を持って疾走する『シェルター』へ。力強く、想いを放たずにいれない躍動を携えimmortal noctilucaは熱を持った演奏をぶつけてきた。パワーで押す?!。いや、燃え滾る感情を突きつけることで、彼女は自分の存在を知らしめていた。掻き鳴らすギターに、熱く流れる血の滾りをぶつけていった。なんて心を突き刺す歌と演奏だ。圧倒するパワーに何時しか気持ちは呑み込まれていた。

 一転、穏やかに流れるピアノの旋律。シンプルでエレクトロな音色の上で、天田優子はマイクをガッとつかみ、言葉を解(ほど)いてゆく。音の波の上でたおやかに揺れる月のように,『月の水海』が心に優しい光を降り注いでいた。後半には、力を抱いた演奏が躍動してゆく面も。凪と揺れを繰り返しながら、誰もがノスタルジックでマジカルな音空間に浸り、ゆったり大きく身体を揺らしていた。なんてスケールの大きな、うなりを持ったエレクトロでギターロックした音の饗宴だ。息が止まりそうなスリリングさが、とても心地好い。

少女のときめく気持ちへ重なるように、光を抱かせる演奏が躍動しながら広がっていく。それは、微熱な体温にも似た心地好く浮かれた気持ち。

「今回の『Gleam』というアルバムは、ものすごい密度で自分の出来ることを精一杯作った作品になりました。『Gleam』って「ちょっとした光」「暗闇の中でぼんやりと光ってる」という意味なんです。私は、「絶対に大丈夫だよ」とストレートに励ませる性格じゃない。むしろ、私みたいな気の弱い人間が一生懸命に頑張ることで誰かに小っちゃな光を照らせたら。そう思って、この『Gleam』というアルバムを作りました」

ライブも終盤戦へ。ロボットの男の子と自由奔放ではちゃめちゃな女の子の出会いの物語を綴ったのが、『NINA』。ドキドキとワクワクがエレクトロな音の隙間からどんどん沸き上がってゆく。天田優子の歌声は、ファンタジックな物語の語り部のよう。ロボットの男の子のときめく気持ちへ重なるように、光を抱かせる演奏が躍動しながら広がっていく。それは、微熱な体温にも似た心地好く浮かれた気持ち。ときめいた初な心模様へ、何時しか大勢の人たちが微笑ましく寄り添っていた。音楽の絵本に心地好く身体を揺らしながら触れてゆくその感覚が、とても嬉しかった。何より、あふれ出る想いが愛おしかった。

すべての熱を優しく抱きしめるよう、最後にimmortal noctilucaは『ブルーノイズ』を届けてくれた。天田優子のギターのストロークが場内へ音を響かせるたびに、そこかしこに光を抱いた音の粒が広がってゆく。ここにいる意味を感じさせるように。閉ざされた感情を解き放ち夢をつかむ喜びを謳歌するよう、その演奏は光を携え心地好く会場の中を駆け巡っていった。

今でも頭の奥底で鳴りやまない歌声と響きが、それを証明していた。

40分にも満たない演奏時間だったかも知れない。でもその七篇の物語が、触れた人たちの胸にかけがえのない思い出を。覚ましたくない夢を届けてくれた。大きく生を主張するのではない。さりげない小さな叫びかも知れない。でもそこに確かな力や想いが漲っていたからこそ音の波紋は身体中にまとわりつき、忘れたくない心の熱狂として身体や記憶に刻まれていった。今でも頭の奥底で鳴りやまない歌声と響きが、それを証明していた。

immortal noctilucaは、ふたたび3月14日にTSUTAYA O-Crestに登場する。その前に、3月8日に1stアルバム『Gleam』が発売になるように、まずは生の疼きを覚える作品に触れていただきたい。

PHOTO:北村和孝(Player)/ kimkim
TEXT:長澤智典

オフィシャルサイト:
http://immortalnoctiluca.com/
オフィシャルツイッター:
https://twitter.com/INoctiluca

トレーラー映像
https://www.youtube.com/watch?v=zHUlUAh_sFY

★CD情報★

1st album『Gleam』
 <2017.3.8 Release>
[価格] ¥2,000+税
[品番] AINR-0001
[レーベル] AI kNow Records
[販売元] ダイキサウンド
[収録曲]
1.emerge
2.マーベリック
3.風
4.end.
5.シェルター
6.月の水海
7.NINA
8.ブルーノイズ

★LIVE情報★

ドシードシー 1st mini album 「デイライトライトの旅の途中」 release event
~デイライトライトの旅の途中の渋谷~
3.14(Tue)@渋谷O-Crest
open 18:00/start 18:30
adv. ¥2,300(+D代)/door ¥2,800(+D代)
act:
・immortal noctiluca
・ドシードシー
・uguis
・EARNIE FROGs
・石井卓とジョン中村
・TIMIDLION

<セットリスト>
SE:emerge
1.マーベリック
2.風
3.end.
4.シェルター
5.月の水海
6.NINA
7.ブルーノイズ


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